ポワシ-音楽院では毎年、学年末6月に大劇場で華やかなバレエ発表会が行われます。
女の子達は衣装の話でもちきり、目をキラキラさせてとても楽しみにしていました。
また夏の2ヶ月のバカンスを前に学校の試験も終わり、季候もよく開放感にあふれ、町ゆく人々の表情もリラックスムードです。
私は頬を気持ちよく撫でてゆく初夏の風を感じるのが好きでした。
ポワシ-でピアノを教えた生徒さんの中にバレエの道を選び、狭き門のパリ国立高等音楽院舞踏科に進んだ女の子がいました。彼女は本格的なバレエのレッスンが忙しくなった年までピアノを続け、内気だけど芯の強い、そしてとても繊細な感性の持ち主でした。