タロワールの思い出

 フランス東部サヴォワ地方に、アヌシーというスイスとの国境に近いとても美しい街があります。
広大な湖、アヌシー湖はアルプスの山々に囲まれていてその水面はコバルトブルー、この透明な美しさは“サヴォワの宝石”と呼ばれています。

Talloires

 アヌシーから湖沿いに車を走らせていくと”タロワール”という小さなとても美しい村に着きます。タロワールからのぞむアヌシー湖、その碧く澄んだエメラルドグリーンの水の色、sauvage(野性的)さに圧倒されそうな自然の美しさ、湖のすぐそこに迫りくる山々の深い緑、入り江にプカプカ浮かぶボート、遠くに見える対岸の家々..
そのすべてが絵になり心揺さぶられる美しさなのです。

 画家セザンヌもこのタロワールを訪れました。
“美しいがあまりに絵画的すぎて退屈”と言った彼の言葉に思わず共感してしまいます。
セザンヌが滞在したホテルはアベイ・ド・タロワールという歴史ある、もと大修道院です。

セザンヌが滞在した L’Abbaye de Talloires

 タロワールには観光客向けのお土産屋さんがあるわけではありません。
静かな避暑地という感じです。
湖の遊覧船が到着するタロワールの船着き場は可愛らしいお花で飾られていて本当に素敵です。この街に来た人々を笑顔で歓迎しているようです。
ここから眺める湖と山々の景色が私の一番のお気に入りスポットです。

タロワール 船着き場

 このかわいい船着き場のお隣に、Auberge du Père Bise(オーベルジュ・ド・ペール・ビズ)という美食の宿があります。
ここのレストランはミシュランの二つ星、シェフはJean Sulpice(ジャン・シュルピス)さんです。
お皿やお料理、その全てが芸術的で、また郷土色豊かで常々“フランス料理は芸術だ!”と私は思います。

Jean Sulpiceさんの restaurant gastronomique にて

 このレストランのテラスでカフェを飲みながらアヌシー湖を眺めていると、その自然の美しさに引き込まれて時間がたつのを忘れてしまいます。
本当に贅沢な時間を過ごせるのです。

 タロワールには、またいつか、何回でも戻ってきたいと思わせる魅力があります。
小さな村だけれども大きな自然に囲まれ静けさの中でゆっくりと景色を楽しむ..
そんなTalloirが私は大好きです。

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